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「フローラの神殿」より《パッションフラワー[2]》

作品名: 『フローラの神殿』より《パッションフラワー[2]》
技法:  版画(スティップルエングレーヴィング、アクアチント)、手彩色仕上げ
刊行年: ロンドン、1802年、第一版
サイズ: シートサイズ   58 x 46 cm  
     イメージサイズ  45x 36 cm
額付

《フローラの神殿》
博覧強記の博物学者・荒俣宏氏が「史上最美」の植物図譜と絶賛するソーントンの『フローラの神殿』は、スティップル・エングレーヴィング、アクアチント、メゾチントなどさまざまな版画技法を駆使して人類が到達した「史上最高峰の銅版画」集と称賛されています。

イギリスの植物学者ロバート・ジョン・ソーントン博士(1768-1837年)は、それまでの植物図譜の常識を覆し、植物をその環境(風景)とともに表現するという画期的なアプローチを行ないました。花を主人公に見立てた、そのドラマチックな表現はピクチャレスクからゴチック的な美意識へと移行する時代のドラマチックな感覚を色濃く反映しています。

裕福な医者、植物学者であったソーントンは、私財を投げ打ち、とりつかれたかのように「フローラの神殿」の編纂にあたりましたが、そのせいで晩年は極貧の生活を強いられました。

ところで、「フローラの神殿」には大判の第一版(フォリオ版)と縮小サイズの第二版があります。第一版に、あまりにもお金をかけすぎたことを反省したソーントンは、その普及版として、より小型のクォート版での出版にトライします。しかし、クオート版と言ってもかなり大きな版型であり(ちなみにルドゥーテのバラ図譜の第一版はフォリオ判、第二版はオクタヴォ判の大きさですが、フォリオ判の半分がクォート判、そのまた半分がオクタヴォ判となります)、これまた彩色銅販画としたため、ソーントンはさらに負債を増やしてしまいます。

そこで彼は国の許可を得て、「フローラの神殿」を中心とする作品群を景品に宝くじを発行し、起死回生をねらいます。しかし、この企ても結局は景品にお金がかかりすぎて、彼はまたまた大損をしてしまいます。それで、ソーントンの宝くじ発行という大博打のきっけとなった第二版は「くじ判」と呼ばれています。


《パッションフラワー[2]》
本図のパッションフラワーは英名ウィングド・パッション・フラワー(Winged Passion Flower)といいます。ウィングが「翼」だから、ウィングドは「翼のある」ということになりますね。どこに翼があるんだろう・・・さらに調べて見たら、「翼」(よく)とは、茎の端にうすくせり出したつばさのようなもののことのようです。ムササビが飛ぼうと手を広げた時、手と後ろ足をつなぐ膜のようなものが見えます。もちろんもっと細いものですが・・・この絵の茎もよく見るとそうなっているようです。

ところで、花弁の赤が印象的ですね。血の色を連想させるほどに鮮烈な赤。そして、その赤をさらに際立たせるのが大きな特徴的な葉の濃い緑色。補色効果がすばらしいです!

そして、編みかけの毛糸のセータの袖口のような、あるいは派手な色に染め上げられたドレッドヘアーのような部分(副花冠)の青と白のまだら縞模様がこれまた鮮やかです。奥の方からちょこっと頭を出している雄しべの黄色がここでも補色効果で効いています。

この絵でソーントン博士が表現したかったことは、それはきっと「受難(パッション)の花」にあらわれた鮮やかなまでのキリストの血の色だったのかも知れませんね。
販売価格 400,000円(税込432,000円)
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About the owner

クマさん

「ルドゥーテのバラの庭」を運営するウーゴズのクマ社長は、長年美術館や博物館向けの展覧会企画に携わってきました。最近は生来のネイチャー志向が目覚めたのかウーゴズのオフィスを植物でいっぱいにして、室内でいかに植物をうまく育てるかに挑戦し、「植物男子ベランダ―」ならぬ出窓でパッションフルーツを育てる「デマダー」を名乗っています。そんな中でルドゥーテに出会い、今春は長崎県立歴史文化博物館での「宮廷画家ルドゥーテの『バラ図譜』展」に企画協力させていただきました。そして、アートと植物学が見事に融合したルドゥーテのバラの絵の素晴らしさを展覧会で鑑賞するだけでなく、もっと多くの方々に身近に感じていただければとの思いからこの「ルドゥーテのバラの庭」を立ち上げました。

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